本当のクリスマス

ハワード・W・ハンター

キリストを感動と躍動と活力の源として生活の中に迎える人にほんとうのクリスマスはやって来ます。

クリスマスは忙しい季節です。最後の準備に追われて,通りや店は人であふれます。道路は車で混雑し,空港は人でごった返します。キリスト教徒はこぞって音楽や照明,きらびやかな装飾を凝らして生活に彩を添えます。

ある作家はこのように言いました。「人々の心にこれほど深く入り込み,高尚な思いへと向かわせる休日はほかにありません。クリスマスに結びついた思い,記憶,望み,習慣は,古代の文化と国民の伝統に深いつながりがあり,子供から老人まで一人一人が持っているものです。わたしたちの性質の,宗教,社会,愛国的な面にまで及んでいます。いつまでも新鮮であることを表すヒイラギとヤドリギ,愛する人に贈り物をする習慣,クリスマスツリー,サンタクロースの言い伝え,これらすべてが重なり合って,クリスマスは最も待ち焦がれる世界的な行事であり,あらゆる意味で, 人々の知る最も大切な休日となっているので す。」〔クラレンス・ベアード“The Spirit of Christmas”Improvement Era,1919年12月 号,154〕

クリスマスの季節は伝統にあふれており,そ の起源は歴史のはるかかなたにまでさかのぼ ります。この休日はキリスト教が出現するずっ と以前の異教徒の礼拝に始まりました。古代 アーリア人はミトラの神を崇拝していました。 この崇拝は次第にインドやペルシャに広がりま した。最初,ミトラは明るい空に輝く光の神で した。しかし,後のローマ時代になると太陽の 神すなわち太陽神――「ソル・インウィクタス・ ミトラ」として崇拝されるようになりました。

クリスマスの起源

クリスマスの季節は伝統にあふれており,そ の起源は歴史のはるかかなたにまでさかのぼ ります。この休日はキリスト教が出現するずっ と以前の異教徒の礼拝に始まりました。古代 アーリア人はミトラの神を崇拝していました。 この崇拝は次第にインドやペルシャに広がりま した。最初,ミトラは明るい空に輝く光の神で した。しかし,後のローマ時代になると太陽の 神すなわち太陽神――「ソル・インウィクタス・ ミトラ」として崇拝されるようになりました。

紀元前1世紀に,ポンペイウスは小アジアの キリキアの南部沿岸地方を次々と征服し,戦 いで捕らえた多くの人々をローマへ連れて行 きました。これによってミトラの偶像礼拝が ローマに持ち込まれたのです。捕虜が自分た ちの宗教をローマ人の兵士に広めたからです。 この偶像礼拝は特にローマ軍の兵士の間で盛 んになりました。今日 こんにち ,ローマ帝国の巨大な都 市の廃虚 はいきょ に,ミトラの神殿を見つけることがで きます。ミトラ崇拝はローマ社会で繁栄し,キ リスト教と並んで人々の信仰を二分するまでに なりました。

太陽神を崇拝する人々は,1年で最も昼の短い日である冬至の 直後に祭典を行っていました。 太陽が南半球へ移る瞬間に停滞 する時期です。太陽がこの最下点から上昇し ていく様をミトラの再生と考えたのです。そし てローマ人は毎年12月25日にミトラの誕生日を 祝いました。この祝日には祭典や祝宴を開き,友人 に贈り物をし,住居を常緑樹で装飾して,お祭り騒ぎを 展開したのです。

キリスト教は最大のライバルであるミトラ崇拝を次第に りょうがしていきました。そしてミトラの誕生を祝っていた祭りの日を,キリストの降誕を 記念する日としたのです。ローマ 文化に深く根ざしていた太陽崇拝 は,キリスト教徒の間で最大の祭典の一つに置き換えられました。こうしてクリスマス は感謝と喜びの日,人々に活力と善意をもたらす日と して今日まで伝えられてきました。この世的な由来と俗世 的な意味を持っているとはいえ,クリスマスは神聖な意味が あります。古代キリスト教徒の祭典は時代を超えて生き続け てきたのです。

クリスマスが現代に持つ意味

現代の人々はクリスマスをどのように考えているでしょう か。サンタクロースの言い伝え,クリスマスツリー,輝く装飾, ヤドリギ,贈り物,これらは皆,わたしたちが祝う日の精神を 表しています。けれどもクリスマスの真の精神ははるかに深 遠なものです。それは救い主の生涯,主が教えられた原則, 主のあがないの犠牲の中に見いだすことができます。これはわた したちの大いなる受け継ぎとなっています。

大管長会はかつて次のような大切な声明を発表しました。 「末日聖徒にとって,クリスマスはいにしえの時 代をしのび,預言に思いをはせる季節です。二 つの偉大で厳粛な出来事,すなわち世界中の 人々が,人類の歴史で最もすばらしく偉大であ ると考えている出来事を思い出す日です。これら の出来事はこの惑星が創造される以前から,こ こで起きると〔あらかじめ定められて〕いました。 一つは時の中間に救い主が降臨して,世の罪の ために死を受けられることでした。もう一つは, 復活し栄光を受けられた贖い主が王の王として 地球を治めるために再臨されることです。」 〔“What Christmas Suggests to a Latter-day Saint”Millennial Star,1908年1月2日付,1〕

パウロはガラテヤ人にあてた短い手紙の中 で,彼らが明らかに不信心であり,キリストにつ いての教えを捨ててしまっていることについて 深く心を痛めていることを示しました。こう記し ています。「わたしがあなたがたの所にいる時 だけでなく,いつも,良いことについて熱心に慕 われるのは,良いことである。ああ,わたしの幼な子たちよ。 あなたがたの内にキリストの形ができるまでは,わたしは, またもや,あなたがたのために産みの苦しみをする。」(ガラ テヤ4:18-19)言葉を換えると,彼らの内にキリストが形 作られるまで,パウロは苦しみ,また心配すると言ったので す。パウロが手紙の中で繰り返し使っている「キリストに あって」という言葉を言い換えたものです。

キリストは人々の生活の中に生まれ,その人の生活の一部 となることがおできになります。それが実際に起きるときに, 人は「キリストにあって」,人の中にキリストの形ができるの です。そのためには,キリストを生活の中に迎えて,キリスト の影響力を受けながら生活する必要があります。キリストは 単なる歴史上の真理や事実にとどまる御方ではありません。 あらゆる地に住む,あらゆる時代の人々にとっての救い主です。キリストのようになる努力をするときに,わたしたちの内 にキリストの形ができます。わたしたちが扉を開くならば,キ リストは入って来られます。キリストに助言を求めるなら,与 えてくださいます。わたしたちの内にキリストの形ができる には,キリストとそのあがないを信じなければなりません。キリ ストに信仰を持ち,戒めを守ることは束縛ではありません。 そうすることで人は自由になるのです。この平和の君は心の 平安を与えようと待っておられます。わたしたち一人一人が 平和をもたらす手段となるためです。

キリストを感動と躍動と活力の源として生活 の中に迎える人にほんとうのクリスマスはやっ て来ます。クリスマスの真の精神は主の生涯と 使命の中に見いだすことができます。クリスマ スの真の精神を定義した作家の言葉を続けて 引用しましょう。「それは人のために犠牲を払い,奉仕を行い, 全世界の人々を愛するよう望むことです。してあ げたことを忘れて,してもらったことだけを記憶 にとどめることです。あなたが世に課している負 債を忘れて,目の前にある義務を果たし,隣人 に善を行い,支援すること……だけを考えるこ とです。隣人があなたと同じように安らかであ るかどうか確かめること,彼らの表情から心にあ る思いを推し量ることです。世を嘆き悲しむの をやめて,幸福の種をまく場所を探し,他人から 見られていなくても自分の務めを果たすことで す。」〔Improvement Era,1919年12月号,155〕 ジェームズ・ウォーリングフォードはクリスマ スについてこのような詩を詠みました。

クリスマスはその日や季節ではなく,心と思いの有様を指す もし自分のように隣人を愛するなら もし富んでいるときに心がへりくだり,貧しいときに深い 思いやりを示すなら もし高ぶることのない愛を持ち,寛容であり,情け深くあ るなら 兄弟からパンを求められたときに,すべてを差し出すなら もし朝ごとに機会が訪れ,わずかでも成し遂げてその日を 終えるなら…… 毎日がキリストの日であり,クリスマスはいつでも目の前 にあるのだ 〔チャールズ・L・ウォリス編,Words of Life(1966年),33〕

ある賢人はこう語りました。「クリスマスの物語について最も驚きを覚えるのはその適 合性にある。それはあらゆる時代に似つかわしく,あらゆる 生活環境に適合する。それは古くから語り継がれている単 なるほほえましい物語ではなく,永遠に新鮮さを失うことの ない物語である。それはあらゆる荒れ野で呼ばわる声であ る。羊飼いが星の光に導かれてベツレヘムのかいばおけを 訪れた昔と同じように,今の時代にも意味を持ち続けてい る。」〔ジョセフ・R・シズー,Words of Life,33〕

クリスマスは子供たちのためにあると言われてきました。 けれども,幼い空想の時代が過ぎ去って,成熟した理解力を 持つ年齢を迎えるとき,「受けるよりは与える方が,さいわい である」(使徒20:35)と言われた救い主の素朴な教えは実 際的な意味を持つようになります。異教徒の休日が,人々の 生活にキリストがお生まれになることを祝うキリスト教徒の 祝日へと進化してきたということは,イエス・キリストの福音 によって感化された人が,ある意味で成熟したことを表す のです。

クリスマスの真の精神を見いだす

クリスマスの真の精神を見いだし,そのすばらしさを味わ いたいと思うなら,次のことを実行してみるよう提案します。 今年,クリスマスの慌しい時期を迎えるときに,神に心を向け る時間を見つけてください。できれば静かな時間に,静かな 場所へ行ってひざまずき,一人であるいは愛する人と一緒に, 与えられた祝福に感謝をささげます。それから,神に仕え, 神の戒めを守るよう熱心に努力するとき,神の御 みたまを受けられるよう願い求めます。神は皆さんの手を取って導かれ,そ の約束は果たされることでしょう。神は生きておられます。神の御子,世の救い主の神性を 証します。生ける神の預言者が地上に置かれている祝福に 感謝します。■

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